創明音楽会の音楽

当会の創立の理念としている『宮城道雄の音楽伝統を継承する』、とは、その作品を保存継承することではなく、前に記したような宮城道雄の音楽的な生き方自体を継承することです。
 この抽象的な概念は、宮城道雄の作品と音楽人生を検証し、さらに創立者小野衛の音楽信条に接することで理解することが出来ることでしょう。
 それに加えて、当会の指導者に個々に学ぶことによって、楽曲の蓄積とともに身体に染み込むように吸収されることと思われます。 


楽器を最良の状態で響かせるには、調弦の設定も重要な要素のひとつです。
 現代曲に於いては、箏の調絃には楽器の特性への配慮が少なく統一性のないものが見受けられますが、古典ならびに宮城道雄・小野衛作品にはその様なことのない調絃で作曲されています。
 これらの曲を五線で記譜する時には、演奏者の利便のために実音譜を避けて記譜音で書かれることが望ましいのです。
その具体的なことは、直接師事して各曲に接することで理解していただく事が最も良い方法です。


 箏も三絃も、絹糸をかけると楽器が本来持っている音色が生きてきます。
 しかしながら近年は、ほとんどの箏はテトロンをかけて演奏されています。
 音色にこだわる人でも、やむを得ずテトロンを使用している場合が多いのですが、そこには様々な問題が含まれています。
 この問題について書かれた小野衛の一文があります。